昔のパウは、もっと身近な衣服だった
ハワイ語の pāʻū(パウ) は、女性が身につけるスカートやサロンのような腰衣を表す言葉です。
フラで使うものは、特に pāʻū hula(パウフラ) と呼ばれます。
つまり pāʻū は、もともと「フラ専用のスカート」の名前ではありません。
昔のハワイの女性にとって、もっと身近な衣服だったのです。
昔のパウは、木から生まれた?
西洋の布が広まる前のハワイでは、衣服に kapa (カパ)が使われていました。
カパは、木の皮の繊維を何度も叩いて薄く広げ、布のように仕上げたものです。
その材料としてよく使われたのが wauke(ワウケ)。日本語では「カジノキ」の仲間にあたる植物で、その内側の樹皮から繊維を取りました。
つまり、
wauke=材料になる植物
kapa=その樹皮から作った布のようなもの
古い資料では、腰から膝ほどまでを覆う巻き衣として説明されています。
今のふんわり広がるパウを見慣れていると、ずいぶん違って見えますね。

えっ、パウで波にも乗った?
さらに意外なのが、pāʻū (パウ)は日常の衣服やフラだけに使われていたわけではないこと。
昔のハワイでは、サーフィンをするときに、油を含ませた kapa(カパ) の pāʻū (パウ)や 男性用の腰布のmalo (マロ)を身につける例もありました。
波に乗るときにも pāʻū。
踊るときにも pāʻū。
日々の暮らしにも pāʻū。
こうして見ると、昔のハワイの人々にとって pāʻū は、私たちが想像する「フラ用品」より、ずっと身近な衣服だったことが分かります。
そして、フラの pāʻū へ
pāʻū は、フラの衣装としても使われてきました。
ハワイ語辞典にも pāʻū hula(パウフラ) という言葉があり、フラで用いるさまざまなダンススカートを指しています。

2014年、ニュージーランド・オークランドのPasifika Festival「Hawaiian Village」で披露されたフラ / Photo: U.S. Embassy New Zealand / Public Domain
そして、pāʻū が特別な意味をもつ場面もあります。
文化資料には、1993年にハワイ島で、pāʻū hula(パウフラ)を身につける出来事を題材に作られた「Ka Pāʻū o Hiʻiaka」という歌(mele)が残されています。
歌の中では、パウを体に結びつける様子とともに、それが身につける人を守るものとしても描かれています。
これは、すべてのhālau(ハーラウ=フラの教室)に共通する決まりという意味ではありません。
けれど、パウが単なる「踊るための服」を超えて、大切に受け継がれる一例です。
参考資料・出典
・Mary Kawena Pukui & Samuel H. Elbert
『Hawaiian Dictionary: Hawaiian-English, English-Hawaiian』
University of Hawaiʻi Press
「pāʻū」「pāʻū hula」の項目
・University of Hawaiʻi, Kahoʻiwai
「Hana Kapa」
「Heʻe Nalu」
・『Resource Units in Hawaiian Culture』
Ulukau: The Hawaiian Electronic Library
・Kīhei de Silva
「Ka Pāʻū o Hiʻiaka」
Kaʻiwakīloumoku, Kamehameha Schools

