モクレイアの海辺から、ワイアルア方面を経て東へ。ノースショアをたどる旅の最後は、ハレイワ(Haleʻiwa)です。海沿いの風景から商店の並ぶ通りへ。ここでは車を降りて、買い物やひと休みの合間に出会える町の歴史をたどります。
シェーブアイスの店を目指す途中に、石を積んだ商店の壁。川まで足を延ばせば、二つのアーチが並ぶ橋。そして町の教会には、数字の代わりに女王の名前を並べた時計もあります。
買い物の合間に、建物を一つ見上げてみる。そのくらいの寄り道から始められる、ハレイワの町歩きです。
町の名前は、鳥の家
店の看板や案内で見かける「Haleʻiwa」には、鳥の名前が隠れています。ハワイ語でhaleは「家」、ʻiwaは海鳥のグンカンドリ。合わせると「グンカンドリの家」です。
この名前には、少し意外な道のりがあります。アナフル川沿いにあったワイアルア女子学校の寄宿舎が「ハレイワ」と呼ばれ、その名が、のちに開業するホテルへ引き継がれたとされています。
1899年にハレイワ・ホテルを開いたのは、鉄道事業家ベンジャミン・ディリンガム。前回のモクレイアで、牧場の持ち主として登場した人物です。
オアフ鉄道土地会社(OR&L)の列車は、砂糖をホノルルへ運ぶ一方で、ホテルへ向かう旅人も乗せていました。ホテルが知られるようになるにつれ、ハレイワという名前も町の呼び名として広まっていきます。
女子学校の寄宿舎から、ホテルへ、そして町へ。ホテルの建物はもうありませんが、受け継がれた名前は、いまもお店の看板や旅の地図の中に残っています。
石造りの店に残る家族の名
カメハメハ・ハイウェイ沿いの木の店構えに交じって、角ばった石を積んだ建物が並んでいます。M.ヨシダ・ビルディングの南北二棟です。
この建物ができたのは1923年。日本から移住したマツジとハツネのヨシダ夫妻のために建てられました。マツジは新潟、ハツネは熊本の出身です。
壁に使われているのは、手で切り出した溶岩の石材。正面には塗り仕上げが施されていますが、外壁には石の表情が残ります。土産ものや看板に目を向けていると通り過ぎてしまいそうな壁にも、百年以上前の仕事が刻まれています。
南側のヨシダ・ストアで売られていたのは、日本からの品や食料品、日用品など。ハレイワの商店は、隣接するワイアルアの砂糖産業と結びつき、プランテーションで働く人々や家族の暮らしを支えていました。
この地域には、ハワイアン、日本系、中国系、フィリピン系、ポルトガル系など、さまざまな背景を持つ人々が暮らしてきました。観光客が買い物を楽しむ通りには、日々の食べものや暮らしの道具を買いに来た人々の歴史も重なっています。
庇の下を歩きながら
店から店へ歩く途中、看板の上にも目を向けると、張り出した庇(ひさし)や低い屋根が見えてきます。入口が通りを向き、お店の顔が一軒ずつ並ぶ。それもハレイワの町歩きの楽しさです。
この町並みには、建物を使い続けてきた人々の手入れに加え、景観を守るための決まりもあります。ハレイワの特別地区では、新しく建てたり改修したりするときに、高さや屋根の形、外壁の材料と色、看板などを、町に伝わる建物と調和させることが求められています。
新しい店が入っても、通り全体の雰囲気を引き継いでいく。町並みを眺めると、ハレイワが古い建物をどう使い、受け継ごうとしているかにも触れられます。
橋と店の建物は同い年
アナフル川まで足を延ばすと、町の目印、レインボー・ブリッジがあります。二つのアーチが並ぶ、鉄筋コンクリートの橋です。1921年、それまでの木橋に代わって架けられました。
橋の近くで目を引くのが、黄色と茶色のサーフ・アンド・シー(Surf N Sea)。この建物も1921年築で、橋と同い年です。
ただし、最初からサーフショップだったわけではありません。もとは雑貨店として使われ、サーフ・アンド・シーとしての営業が始まったのは1965年。建物ができた年と、いまの店が始まった年には、40年以上の間があります。
暮らしの品を買いに来る人を迎えた店が、やがて海のスポーツを楽しむ人の立ち寄る場所になる。橋と店を一緒に眺められるこの一角には、ハレイワの商いの移り変わりが残っています。
女王の名前で時を読む
町の教会にも、気になるものがあります。リリウオカラニ・プロテスタント教会に伝わる、女王が贈った時計です。
文字盤を見ると、数字の代わりに並んでいるのは「LILIUOKALANI」の文字。女王は1892年1月1日、この時計を教会へ贈りました。時刻を示す場所に女王の名がある、小さな文字盤にもこの教会の歴史が残っています。
教会の始まりは、ジョンとアーシュラ・エマーソン夫妻らが教会を開いた1832年にさかのぼります。その後、建物は何度か替わり、1961年に現在の礼拝堂へと受け継がれました。時計は、いまの礼拝堂よりずっと前から大切にされてきたものです。
礼拝堂の外では、塔の上にも町の歴史を伝えるものがあります。魚をくわえた鳥の風見は、1985年に寄贈されたもの。かたどられているのは、町の名前にも登場したʻiwa、グンカンドリです。町の名になった鳥が、教会の屋根の上にも姿を見せています。
いまも礼拝や地域の活動が続く教会です。内部の見学は事前に確認し、訪れるときは祈りの時間を大切にしましょう。

氷の向こうにある商店の話
町歩きのひと休みに、マツモト・シェーブアイスへ。色とりどりのシロップが並ぶこの店にも、商店街の暮らしにつながる始まりがありました。
1951年2月13日、マモルとヘレンのマツモト夫妻が開いたのは、食料品店でした。マモルはプランテーションや鉄道で働いた後、商店で販売の仕事を経験し、夜学で英語と算数も学びました。
独立したばかりの頃、商品の配達に使っていたのは自転車です。やがてトラックを買えるようになると、働く人々が暮らすキャンプを回って注文を取り、品物を届けました。その間、ヘレンは店を守り、裁縫の仕事もしていました。
3人の子どもが生まれ、商売を広げようと始めたのがシェーブアイスの販売です。いま旅人が楽しみに訪れる店には、自転車で商品を届け、家族で店を切り盛りしていた時代がありました。
どのシロップを組み合わせるか迷いながら待つ、ひと休みの時間。食料品を届けていた商店は、いま、町を訪れる人が足を止める場所になっています。
海辺の旅の終わりに
カエナ・ポイントの鉄道跡、モクレイアの飛行場と牧場、ハレイワの商店。同じ海岸をたどってきた3つの記事には、海の景色とともに、そこで暮らし、働いた人々の姿がありました。岬やホテルを結んだ鉄道の話は、鉄道で働いた経験を持つマモル・マツモトの商店へとつながります。
ハレイワの散策地図や地域の聞き取り記録は、ノースショア商工会の案内にまとまっています。営業時間や見学の可否は、訪問前に各施設の公式案内でご確認ください。ひとつ前の風景は、ノースショア② モクレイアで紹介しています。
橋のたもとから商店の並ぶ通りへ。お土産を選ぶ合間に、石の壁に残る家族の名を見つける。シェーブアイスでひと休みしたあとにも、まだのぞいていない店がある。海辺をたどった一日の最後に、ハレイワではそんな時間が待っています。
出典:
- University of Hawaiʻi at Hilo, Wehewehe Wikiwiki: Haleʻiwa, hale, and ʻiwa. Place-name meanings and the connection between the girls’ school residence and the hotel.
- North Shore Chamber of Commerce, Historic Plaque Project, North Shore News, October 20, 2021, p. 14. The Haleʻiwa Hotel, its 1899 opening, and its railway connections.
- University of Hawaiʻi, Center for Oral History, Waialua and Haleʻiwa: The People Tell Their Story. Oral histories of local communities and the sugar industry.
- Historic Hawaiʻi Foundation, The M. Yoshida Buildings, More than a Century of Commerce in Haleʻiwa. Construction, masonry, the Yoshida family, and the history of the stores.
- City and County of Honolulu, Section 21-9.90-4, Design Controls. Architectural and landscape design requirements for the Haleʻiwa Special District.
- Historic Hawaiʻi Foundation, Rainbow Bridge over Anahulu Stream. The bridge’s structure and construction in 1921.
- Surf N Sea, About. The building’s construction in 1921, its original use as a general store, and the surf shop’s establishment in 1965.
- Liliʻuokalani Protestant Church: History, The Queen’s Clock, and The Weathervane. The church’s founding and the histories of the clock and weathervane.
- Historic Hawaiʻi Foundation, The Rich Legacy of Liliʻuokalani Protestant Church. Successive church buildings and the dedication of the present sanctuary in 1961.
- Matsumoto Shave Ice, Our Story. The store’s founding in 1951, the founders’ working lives, deliveries, and the introduction of shave ice.
- North Shore Chamber of Commerce, Plan Your Visit to Historic Haleʻiwa. Historical walks, maps, and oral-history resources.

