青い海の上に白い波が立ち、サーファーが岸へ向かって滑ってくる。
ワイキキでは、そんな景色が今も繰り返されています。
ハワイ語で波は、ナル(nalu/波)。
沖で膨らみ、白く崩れ、岸へ届く。その波と人との間には、ハワイで長く育まれてきた文化があります。
そしてワイキキには、昔から名前で呼ばれてきた波乗りの場所もありました。
波とともにあるハワイ
ナルには「波」のほか、「波立つ」という動詞の意味もあります。
ハワイ語で波乗りは、ヘエ・ナル(heʻe nalu/波乗り)。
ヘエ(heʻe/滑る)とナルを組み合わせた言葉で、文字通り「波を滑る」ことを表します。
波乗りは、ハワイで昔から親しまれてきました。首長も庶民も波に乗り、ワイキキも古くから波乗りで知られた場所のひとつでした。
ホテルが並ぶ現在の海岸からは想像しにくいかもしれませんが、同じ沖には、ずっと以前から人々が波を待つ時間が流れていたのです。
ワイキキには波の名前
ワイキキの沖には、昔から名前で知られる波乗りの場所がありました。
そのひとつが、カレフアウェヘ(Kalehuawehe/ワイキキで知られた波乗り場の名)です。
1886年11月13日付のハワイ語新聞『Ko Hawaii Paeaina』には、ハワイ各地で知られていた波の名前とともに、カレフアウェヘの名が残されています。
100年以上前の新聞に、ワイキキの波の名前が記されている。
それだけでも、いつもの海が少し違って見えてきます。
遠くから眺めれば、ひと続きの海。
けれども、その海をよく知る人々にとっては、波の立つ場所にも名前があり、それぞれ親しまれていました。
山や土地、風や雨に名前があるように、海の景色にも名前があったのです。
今も寄せるワイキキの波
19世紀のワイキキと現在のワイキキでは、海岸の景色は大きく変わりました。
それでも、沖から波がやってきて、人がその波に乗る光景は続いています。
ナルという言葉を知り、カレフアウェヘのように名前で呼ばれてきた波乗りの場所があることを知る。
それだけで、よく知られたワイキキの海にも、少し違う時間が重なって見えてきます。
白い波が一本、岸へ向かって伸びてくる。
その波の向こうには、ずっと以前から海を見つめ、波を待ってきた人々の時間があります。
次にワイキキの海を眺めるとき、その白い波が、少しだけ違って見えるかもしれません。
参考資料
Mary Kawena Pukui, Samuel H. Elbert, Hawaiian Dictionary/ University of Hawaiʻi, Kahoʻiwai, “Heʻe nalu”/ Bishop Museum, “Rev. C. M. Hyde’s call for epithets, 1886”/ “He mau Inoa Kapakapa,” Ko Hawaii Paeaina, November 13, 1886/ Hawaiʻi State Archives, “19th Century Waikīkī / Waikīkī o ke Kenekulia 19”
