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ハワイのガーリックシュリンプ|ノースショアで育った名物と2つの店

2026 9/25
ハワイのローカルスポット

オアフ島(Oʻahu)のノースショアを走っていると、道路沿いにシュリンプを焼く店やトラックが現れます。

殻付きのエビにたっぷりのガーリック、そして白いご飯。今ではハワイ旅行でもよく知られるガーリックシュリンプですが、昔から受け継がれてきたハワイの伝統料理ではありません。

では、なぜノースショアにシュリンプの店が集まったのでしょうか。

その背景をたどると、カフクの養殖業と、まったく違う歩みをしてきた二つの店が見えてきます。

目 次

ガーリックシュリンプとは

ノースショアでよく見かけるガーリックシュリンプは、殻付きのエビをニンニクやバター、オイルなどで調理し、ご飯と一緒に盛りつけるスタイルです。

殻をむきながら食べるので、指はすぐにガーリックソースだらけになります。

けれど、それもこの料理の楽しさのひとつ。残ったソースをご飯と一緒に食べるところまで含めて、一皿が完成します。

ノースショアでは1990年代以降、こうしたシュリンプを提供するトラックやロードサイドの店が知られるようになりました。

昔ながらのハワイ料理というより、エビの養殖と道路沿いの店が結びついて育った、比較的新しいローカルフードです。

カフクで育ったエビ文化

ガーリックシュリンプの背景にあるのが、カフク(Kahuku)周辺のエビ養殖です。

ハワイでは1960年代後半から、近代的な淡水エビの養殖研究が本格化しました。

州の研究施設では東南アジア原産の大型淡水エビが導入され、1970年代には商業生産やハワイ大学などによる研究も進んでいきます。

その後、カフク周辺でも淡水エビや海水エビを育てる養殖場が作られました。

ノースショアを走ると、道路のすぐそばに大きな養殖池が見える場所があります。

観光客には「シュリンプトラックのある道」に見えても、その風景の後ろには、エビを育ててきた地域の産業があるのです。

ジョバンニの始まり

現在、ノースショアのシュリンプトラックとしてよく知られているのが、ジョバンニズ・シュリンプ・トラック(Giovanni’s Shrimp Truck)です。

ところが、その始まりは現在のような固定された店ではありませんでした。

走るパン配送車から

1993年、ジョバンニは1953年製のパン配送トラックを改造して営業を始めました。

しかも、店の場所は決まっていません。

トラックでノースショアを走り、道路脇に数時間停車してシュリンプを販売すると、再び別の場所へ移動していました。

文字どおり「走るレストラン」だったのです。

人気が広がると、1996年にカフクへトラックを固定し、翌1997年にはハレイワ(Haleʻiwa)にも店を構えました。

現在の有名店が、50年代のパン配送車から始まったというのは、ジョバンニの歴史の中でも印象的なエピソードです。

白い車に残るサイン

ジョバンニの白いトラックを近くで見ると、車体が無数の文字で埋め尽くされています。

公式の歴史によると、トラックが決まった場所に停まるようになると、客が次に訪れたときに自分のサインを見つけられるよう、車体に名前を書き始めたそうです。

一人、また一人と書き加えられ、白かった車体は世界中から来た客のサインで覆われていきました。

料理を売るためのトラックが、そのまま旅の記憶を残す場所になったのです。

名物シュリンプ・スキャンピ

ジョバンニを代表する料理が、シュリンプ・スキャンピ(Shrimp Scampi)です。

公式サイトでは、エビをオリーブオイル、新鮮なニンニク、レモンバターで調理すると紹介されています。

皿には白いご飯が添えられ、ガーリックソースと一緒に食べるのが定番です。

レストランの中で静かに食べる料理ではなく、トラックから受け取った皿を屋外のテーブルへ運び、殻をむきながら食べる。

料理と場所が一緒になって、ジョバンニらしい体験を作っています。

ロミーズと養殖池

ジョバンニとはまったく違う角度からカフクのエビ文化を見せてくれるのが、ロミーズ・カフク・プローンズ&シュリンプ(Romy’s Kahuku Prawns & Shrimp)です。

ロミーズの物語は、トラックではなく養殖池から始まります。

3つの水槽から

創業者のロミー・アグイナルド(Romy Aguinaldo)は、もともとセールスマンでした。

ハワイ大学の2003年の資料によると、養殖を始めたころには大きな設備もなく、企業から余った合板などを譲ってもらい、友人たちに手伝ってもらいながら3つの小さな水槽を作りました。

最初からエビだけを育てていたわけでもありません。

ティラピアやナマズなども試しながら、少しずつ養殖を広げていったといいます。

31以上の養殖池へ

その養殖施設は、2003年には31以上の養殖池を持つ規模へ成長していました。

2004年の地元紙には、アグイナルド一家がその時点ですでに12年間養殖場を営み、8年間ロードサイドの店を営業していたことも記録されています。

ロミーズでシュリンプを食べるとき、店の周囲に広がる池は単なる背景ではありません。

料理になるエビを育ててきた、この店の物語そのものです。

青いハサミの巨大エビ

ロミーズの正式名を見ると、「Prawns & Shrimp」と二つの言葉が並んでいます。

日本語にすると、どちらも「エビ」になってしまいます。

ところが、ここには面白い違いがあります。

Prawns & Shrimpの意味

ハワイ大学が2012年に行った養殖水産物の調査では、ロミーズから2種類のエビが採取されています。

ひとつはパシフィック・ホワイト・シュリンプ。

もうひとつが、ジャイアント・フレッシュウォーター・プローン(Giant freshwater prawn)です。

つまりロミーズでは、性質の異なるシュリンプとプローンの両方が扱われていました。

店名に二つの言葉が並んでいるのも、この店を知る小さな手がかりになります。

オニテナガエビとは

ジャイアント・フレッシュウォーター・プローンの学名は、マクロブラキウム・ローゼンベルギー(Macrobrachium rosenbergii)。

日本ではオニテナガエビと呼ばれる大型の淡水エビです。

特に成熟したオスは長い脚を持ち、その脚が鮮やかな青色になることがあります。

体も大きく、一般的な食用シュリンプとはかなり違った姿をしています。

ただし、ロミーズで提供されるエビがすべてオニテナガエビという意味ではありません。

大学の調査でも、淡水性のプローンと海水性のシュリンプの両方が確認されています。

一皿から見える土地

ノースショアのガーリックシュリンプは、今ではハワイ旅行でもよく知られる料理になりました。

けれど、その背景を知ってからカフクを走ると、道路沿いの風景も少し違って見えてきます。

シュリンプを食べるだけでなく、その料理が育った場所を見る。

それも、ノースショアでガーリックシュリンプを楽しむ面白さのひとつです。

参考資料・出典
Giovanni’s Shrimp Truck, History
University of Hawaiʻi at Mānoa, College of Tropical Agriculture and Human Resources, Omega-3 Fatty Acid, Selenium, and Mercury Content of Aquaculture Products in Hawaiʻi
University of Hawaiʻi, SeaWords, MOP Aquaculture Fieldtrip, 2003
The Honolulu Advertiser, North Shore shrimp trucks, 2004
State of Hawaiʻi, Department of Land and Natural Resources, Annual Report 1973–1974
NOAA Repository, Some Characteristics of Earthen Pond Prawn Production in Hawaii
JAMSTEC, Biological Information System for Marine Life, Macrobrachium rosenbergii

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