Alohaとは?ハワイ語に込められた「愛」と「呼吸」と「つながり」の意味

目 次

Alohaとは?

ハワイに行ったことがなくても、「アロハ」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。 あいさつとして有名ですが、実はそれだけではありません。

Alohaは、ハワイの人々がとても大切にしてきた「生き方そのもの」をあらわす言葉です。 一言で訳すことができない、あたたかく深い意味を持っています。 今回は、そんなAlohaという言葉の本当の意味を、やさしくひもといてみましょう。

「愛」と「呼吸」と「つながり」

Alohaという言葉には、「愛」という意味が込められていることはよく知られています。 けれど実は、もうひとつ──「呼吸(ha)」という意味もあるのです。

古代のハワイでは、「ha(ハー)」は神聖なものとされ、人と人が心を通わせるときには、おたがいの呼吸を感じ合うことが大切にされていました。 「alo」は「~の前に」「共にいること」。つまり、Alohaは「いっしょに呼吸を分かち合うこと」なのです。

それは、ただ言葉を交わすだけでなく、相手の存在をしっかり感じるということ。 だからAlohaには、「愛」と「呼吸」と「つながり」という、深くてやさしい意味が宿っているのです。

出典:Hawaiian Dictionary(University of Hawaiʻi Press)

Alohaに込められた、日々のふるまいのヒント

Alohaという言葉は、ただのあいさつではありません。 その5文字には、ハワイの人たちが大切にしてきた「日々のふるまいのヒント」が込められているのです。

それぞれの文字に込められた意味は、次のように伝えられています。

Akahai(アカハイ) : やさしさと思いやり
Lōkahi(ローカヒ) : 調和と団結
ʻOluʻolu(オルオル) : 心地よい態度と寛容さ
Haʻahaʻa(ハアハア) : 謙虚であること
Ahonui(アホヌイ) : 忍耐とゆるやかな心

どれも、むずかしいことではありません。 自分のまわりの人に、少しだけやさしくしてみる。 意見が違うときにも、まずは耳をかたむけてみる。 そんな小さなことの積み重ねが、Alohaの心なのかもしれません。

出典:The Aloha Spirit Law(HRS §5-7.5)

リリウオカラニが示した「アロハ」の姿

王国を奪われたあとも、リリウオカラニ女王は「アロハ」の心を手放しませんでした。 1893年、武力を背景にした政変で幽閉された際にも、彼女は敵を非難するのではなく、静かに祈りの歌を作ります。

その中で繰り返されたのが「Ke Aloha o ka Haku(主の愛)」という言葉でした。

この“主”とは、彼女が若い頃から親しみ、信じていたキリスト教の神のこと。リリウオカラニ女王は、アメリカから来た宣教師たちの教育を受けた敬虔な信仰者でもありました。

彼女にとってアロハは、ただのやさしさや愛情ではなく、赦しや信頼、そして平和を願う「信仰に根ざした生き方」だったのです。 その姿は今も、ハワイの人々にとって「アロハスピリット」の理想像として語り継がれています。

出典: Queen Liliʻuokalani. *Hawaii’s Story by Hawaii’s Queen*. Boston: Lee and Shepard, 1898. Office of Hawaiian Affairs, “Liliʻuokalani and the Aloha Spirit”

アロハの精神は、今も生きている

アロハは古い言葉ではなく、現代のハワイでも日々の暮らしや文化の中で息づいています。

たとえば、フラのハラウ(教室)では、レッスンの始まりや終わりに「Aloha Chant」を唱えることがあります。これは、仲間と呼吸を合わせ、心をひとつにして稽古に向かうための大切な儀式です。

また、地域のイベントや式典でも、参加者全員でアロハを分かち合うチャントが響きわたります。力強くもやわらかな声の響きは、アロハの精神が今も確かに生きていることを感じさせてくれるのです。

出典: Hawaii Revised Statutes §5-7.5 “Aloha Spirit” Office of Hawaiian Affairs, “The Aloha Chant in Community Gatherings”