ハワイ語の「愛」のかたち
「アロハ」と聞いて、あなたはどんな気持ちになりますか?あいさつの言葉として知られていますが、実はAlohaは、ハワイ語における“愛”の本質そのものを表す大切な言葉です。
でも実は、ハワイ語には「愛」を表す言葉が他にもたくさんあります。
恋人を想う愛、家族に向ける愛、土地や神への敬意を込めた愛──それぞれに違った言葉が使われているのです。
今回は、そんな「アロハだけじゃない」5つの愛の言葉を、ハワイらしいエピソードとともにご紹介します。

1. Aloha ─ ハワイの心そのもの
ハワイ語で「愛」といえば、やっぱり外せないのがこの言葉「Aloha(アロハ)」です。
愛、思いやり、優しさ、あたたかさ、共感、尊敬 ─ たったひとつの言葉で、こんなにも多くの意味を包み込んでいます。
でもAlohaは、単なるあいさつや感情の表現ではありません。ハワイの人々はAlohaを「生き方」として大切にしています。
たとえば「Aloha Spirit」と呼ばれる概念には、“心を開いて、他人に思いやりを持ち、正直に、そして感謝を忘れずに生きる”という意味が込められています。この精神は、ハワイ州の法律にも記されているほど。Alohaは、ハワイという場所そのものを形作る大切なエッセンスなのです。
2. 土地を愛するということ
「Aloha ʻĀina」は、直訳すれば「土地への愛」ですが、その意味はとても深く、ハワイの人々のアイデンティティと強く結びついています。
この言葉は、単なる自然愛護ではありません。ハワイ語でʻāina(アーイナ)は「土地」だけでなく、「食べ物を与えてくれる母なる大地」という意味も持っています。
つまり、Aloha ʻĀinaは「土地への感謝」「自然との共生」、そして「文化や祖先とのつながり」までも含む、大きな愛の表現なのです。
19世紀後半、ハワイ王国が外国勢力によって揺さぶられた時代、ハワイ人たちはこの言葉を掲げて立ち上がりました。
Aloha ʻĀinaは、ハワイの独立と文化を守るためのスローガンでもあり、今もなお、自然保護や伝統文化の復興運動の中で息づいています。

3. おたがいに思いやりを
「Aloha kekahi i kekahi」は、「おたがいに愛を持とう」「思いやり合おう」という意味のハワイ語の表現です。
これはフラのレッスンでも、地域のイベントでも、ハワイのコミュニティが大切にしている精神そのもの。
誰かが初心者であっても、失敗しても、みんなで優しく見守る──そんな空気がAloha kekahi i kekahiには込められています。
この言葉は、クム(先生)や仲間との関係を築いていくうえで欠かせない「心のルール」。
ハワイでは「上手に踊る」よりも、「みんなとともに踊る」ことが重視される文化があります。
その土台にあるのが、まさにこの「おたがいを思いやるアロハの心」なのです。
4. 名前にもなる深い「愛」
「Ke aloha」は「ke(定冠詞)+ aloha(愛)」から成る言葉で、「その愛」「かけがえのない愛」というニュアンスがあります。
この言葉はハワイ語の名前としてもよく使われ、男性にも女性にも「Kealoha」という名前が見られます。
特別な誰かへの深い想い、永遠に変わらない愛、家族の絆などを象徴する言葉で、
詩やメレ(歌)でもしばしば使われる表現です。
とくに「Ke aloha ʻohana(家族への愛)」「Ke aloha o ka ʻāina(土地への愛)」のように、
さまざまな対象に向けた大切な感情を表す言葉としても活躍しています。
