創業の背景とハワイに根ざしたルーツ
ハワイに来たら一度は食べたいローカルフード。そんな味をリーズナブルに楽しめるのが、ハワイの人気レストランチェーン「Zippy’s(ジッピーズ)」です。1966年の創業以来、Zippy’sはハワイの人々にとって「生活の一部」として親しまれています。
1966年、沖縄系日系人であるフランシス&チャールズ・ヒガ兄弟によってホノルルのカリヒ地区に創業されました。彼らのルーツである沖縄の精神──家族を大切にする価値観、温かいもてなしの心、そして質素で滋味深い食文化──は、ジッピーズのサービスや料理に色濃く息づいています。
ヒガ兄弟は「いつでも誰でも、あたたかい食事を届けたい」という想いから、当時としては画期的な24時間営業を開始しました。夜勤明けの労働者や深夜に勉強する学生たち、早朝から行動するシニア層まで、あらゆる人がふらりと立ち寄れる“もうひとつの家庭”のような空間を目指したのです。
さらに、彼らはハワイの多民族社会に着目し、メニューに日系、ポルトガル系、フィリピン系、中華系などの文化的エッセンスを取り入れることで、“誰もが懐かしさを感じられるレストラン”を実現しました。この柔軟で開かれた発想は、ハワイ独自の食文化に新しいスタンダードを打ち立てることにもつながっていきます。
ハワイの暮らしに寄り添うZippy’sの存在意義
Zippy’sは、単なるローカルレストランの枠を超えた「ハワイの家族の一員」のような存在です。朝のコーヒーと共に一日を始める年配のローカル、夜遅くまで勉強した学生が腹ごしらえに立ち寄る夜食の定番、週末に家族が集う食卓──そのどれにもZippy’sは自然と溶け込み、世代を超えた思い出の舞台になってきました。
特筆すべきは、Zippy’sの地域貢献の姿勢です。学校や非営利団体のファンドレイジングを積極的に支援し、地域イベントやチャリティ活動においても「Zippy’sが関わっていれば安心」と言われるほどの信頼を築いてきました。
そして、災害時にはその真価が発揮されます。たとえばハリケーン襲来時や火山噴火、最近ではマウイ島の山火事の際にも、Zippy’sは被災地へ温かい食事を届け、避難所への炊き出しや物資提供に尽力しました。レストランである前に、人々の命と心を支える“地域の台所”であろうとする姿勢は、多くのローカルの心をつかんで離しません。
「食を通じてコミュニティを支える」──それがZippy’sが長年にわたり愛されてきた理由のひとつです。
ローカルの心をつかむZippy’sの定番メニュー
Zippy’sと聞いて真っ先に思い浮かぶのが「チリ・ウィズ・ライス」。ヒガ兄弟が開発した特製のチリソースは、ピリッとした辛さの奥にコクが広がり、白いご飯との相性は抜群です。家庭の味としてローカルに定着し、今では“ハワイの国民食”とも言える存在に。毎年開催される「チリ・ウィーク」では限定メニューも登場し、イベントを楽しみにしているファンも多くいます。
ボリュームたっぷりの「ジップ・パック」も人気のプレートランチ。照り焼きビーフ、フライドチキン、魚のフライ、スパムなどを一皿に盛り込んだ夢のような組み合わせは、仕事の合間やビーチ帰りに最適。まさに「ハワイの味が一度に楽しめる」Zippy’sの代名詞的な存在です。
また、和・中・ハワイアンが絶妙にミックスされた「サイミン」は、ふんわり玉子とチャーシュー、あっさりしたスープが魅力の癒し系メニュー。体調が優れないときや肌寒い朝に食べたくなる、ローカルの“心の味”とも言えるでしょう。
甘党なら外せないのが、ベーカリーで提供される「ナポレオン・パイ」や「マラサダ」。ナポレオンパイはサクサクのパイ生地に濃厚クリームが層になっていて、午後のコーヒータイムにぴったり。マラサダはレナーズとはまた異なる、素朴で懐かしい味わいがあり、根強いファンを持ちます。
Zippy’sがローカルにとって特別な理由
ジッピーズは、ただのレストランではありません。地元の人々にとっては、「家族の思い出が詰まった場所」。週末の朝に家族で朝食を囲んだ記憶、夜勤明けにホッと一息ついた深夜のコーヒー、卒業式や誕生日にみんなでシェアしたプレートランチ。そんな“日常の中の特別”を提供してきた存在です。
とりわけ注目すべきは、Zippy’sが地域コミュニティとのつながりを大切にしてきたこと。ローカルイベントのスポンサーや、学校のファンドレイジングへの協力は当たり前。災害時にも素早く行動し、2023年のマウイ島大火災の際には現地に支援物資を届け、避難所に温かい食事を提供しました。「Zippy’sがあるから大丈夫」──そんな安心感は、地元で育った人なら誰もが感じているはずです。
スタッフの多くも地元出身者。アロハスピリットが自然とにじみ出る接客には、観光客でさえ「また戻ってきたい」と感じるあたたかさがあります。そう、Zippy’sはローカルの心の拠り所であり、ハワイらしさを味わう“生きた場所”なのです。
みんなの定番!Zippy’sの人気メニュー
Zippy’sの代名詞といえば「チリ・ウィズ・ライス」。特製スパイスで煮込まれたチリを白ごはんにたっぷりかけたこの一皿は、創業当初から変わらぬ味を守り続けており、Zippy’sのシグネチャーとも言える存在です。毎年開催される“チリ・ウィーク”では限定トッピングも登場し、ファンの間ではプチお祭りのようになっています。
「ジップ・パック」も人気メニューのひとつ。照り焼きビーフ、フライドチキン、白身魚フライ、スパムといったボリュームたっぷりのラインナップを一皿に詰め込んだ夢のプレートで、ローカルの子どもたちには「ごちそう」の象徴です。
「サイミン」は日本のラーメンや沖縄そばとは違い、優しいスープとゆるい麺が特徴の、ハワイ独自のヌードル料理。ふわふわの卵、チャーシュー、ネギが乗ったそのビジュアルに、ホッと心がなごみます。風邪を引いたときや、雨の日に食べる人も多いんですよ。
甘いものなら「ナポレオンパイ」や「アンドーギ(沖縄風揚げドーナツ)」が人気。特にアンドーギはヒガ兄弟のルーツである沖縄文化を象徴するデザートで、ローカルシニアからも「懐かしい味」として愛されています。レナーズのマラサダとはまた違った、素朴で家庭的な甘さが魅力です。
英語が不安でも大丈夫!注文時に使えるZippy’s英会話
Zippy’sでは観光客の利用も多いため、スタッフも英語が苦手な人に慣れています。以下の表現を覚えておけば、安心して注文できます。
Ordering Food at Zippy’s
“Hi, can I get a Chili with Rice, please?”
(こんにちは、チリライスをお願いします)
“I’d like a Zip Pac to go.”
(ジップ・パックを持ち帰りでお願いします)
“Is the Saimin available now?”
(今、サイミンはありますか?)
“What do you recommend?”
(おすすめはなんですか?)
Other Useful Phrases
“For here or to go?”(店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?)
→ “To go, please.”(持ち帰りで)
→ “For here, thanks.”(店内で)
“Can I get it without onions?”(玉ねぎ抜きにできますか?)
“Do you have any vegetarian options?”(ベジタリアンメニューはありますか?)
Zippy’s本店へのアクセス
ジッピーズの本店はオアフ島ホノルル市内、カリヒ地区に位置しています。ワイキキ中心部からは車で約15分、バスの場合は「TheBus」でKalihi方面行きに乗車し、約30〜40分で到着します。
駐車場も完備されているため、レンタカーでも安心して立ち寄ることができます。周囲はローカル感あふれる住宅街や店舗が並び、観光地とは異なるハワイの日常を感じられるエリアです。