シャカサインって何?
シャカサインとは、親指と小指を立てて、他の指を折り曲げる手のジェスチャーです。ハワイでは「アロハの心」を表すポーズとして、挨拶・感謝・称賛・共感など、さまざまな場面で使われます。
「ありがとう」「大丈夫!」「気にしないで!」という意味合いで、笑顔とともに使われるのが特徴です。観光客にもおなじみのこのポーズは、実はハワイの歴史と深く関わっています。

シャカの語源と広まり
ピジン英語から生まれた言葉
「シャカ(shaka)」という言葉は、ハワイのピジン英語で「Shaka, braddah!(シャカ、兄弟!)」というフレーズから来たと考えられています。
ピジン英語とは、19世紀のプランテーション時代に多国籍の移民労働者たちが使うようになった、英語をベースに様々な言語が混ざり合ったハワイ独自の言語です。今でも日常会話の中で多く使われ、ハワイの文化やアイデンティティの一部となっています。
ここでの「braddah(ブラダ)」は「brother」のことで、親しみを込めた呼びかけです。この表現は「いいね!」「ナイス!」「そのままで行こう!」といったポジティブな意味を含みます。
この言葉とジェスチャーがセットになってテレビCMなどで使われ、1960年代にハワイ全体へと広がりました。

シャカサインの起源
ハマナ・カリリの実話
最も信頼されている説は、オアフ島カフク出身のハマナ・カリリ(Hamana Kalili)に由来するものです。
1900年代初頭、製糖工場での事故により、彼は右手の中指・薬指・人差し指を失いました。その後、鉄道の警備員として働いていた彼が、残った親指と小指で子どもたちに合図を送っていたことから、その手の形が「面白い」「かっこいい」と子どもたちの間で真似され、徐々に地域に広まったとされています。
ハンセン病との関連説
一部では、モロカイ島のカラウパパなどハワイのハンセン病隔離施設にいた人々が、指の欠損によりこの形になったことから始まったという説もあります。しかし、これを直接的な由来とする証拠は現在のところ確認されていません。
とはいえ、差別や隔離の歴史の中で、人と人とを隔てる壁を越える「受容と連帯の象徴」として、このサインが広がったという見方も可能です。

今も息づく「アロハ」のサイン
日常に溶け込むジェスチャー
今日、シャカサインはハワイを象徴するジェスチャーとして、地元の人々の暮らしの中に深く根付いています。道路で譲り合った時、店員さんへの感謝、友人との再会など、日常のあらゆる場面で自然に使われます。
シャカを交わすだけで、「あなたを受け入れています」「仲間だよ」という気持ちが伝わるのです。
出典:
Hawaiian Airlines. “The Origin of the Shaka”; Wikipedia(英語版) “Shaka Sign”; Oral Histories of Hawai‘i (University of Hawaiʻi); National Geographic: “The Tragic History of Kalaupapa”; Hawaii Public Radio Interview: The History of Hamana Kalili