ハワイの伝統衣装「パウ(pā‘ū)」とは?──フラスカートに込められた意味と歴史

目 次

パウ(pā‘ū)とは何か?

ハワイ語における「包む」という意味

ハワイ語の pā‘ū は、「包む」「巻きつける」「覆う」といった意味を持つ言葉です。 古代ハワイでは、衣類は縫製されたものではなく、体に布を巻きつける形式が一般的でした。 女性が腰に巻いていた布が pā‘ū と呼ばれ、日常着としても礼装としても使われていました。

pā‘ū に込められた意味

pā‘ū は、単なる布ではありません。 それは自らの身体を守り、装い、敬意を表すという行為そのものでもあります。 現代のスカート型のパウも、この「包む」というハワイ的な概念に根ざしています。

出典:Pukui, Mary Kawena & Elbert, Samuel H. Hawaiian Dictionary. University of Hawaii Press.
画像出典:Hawaii State Archives (Call Number: PP-98-13-007) / Public domain


ハワイ王国時代の伝統衣装をまとった女性たちがフラを披露する歴史的な写真
1885年 カラカウア王49歳の誕生日祝賀でのフラダンサーたち

現代フラで受け継がれる pā‘ū の心

フラスカートとしての pā‘ū

現在のフラでは、pā‘ū はギャザー入りのスカートを指します。 ゴムを通して腰にフィットさせ、踊りやすく、美しく揺れるよう工夫されています。 素材はコットンやポリエステルが主流で、色柄には花や自然、土地にちなんだ意味が込められることもあります。 女性だけでなく、男性も pā‘ū を着けて踊ることがあり、伝統が現代にも継承されていることがわかります。

手作りされる「自分だけのパウ」

多くのハラウ(フラ教室)では、既製品のスカートだけでなく、布を選び、自分で縫って作る「手作りパウ」も大切にされています。 これは単なる衣装作りではなく、フラへの敬意や感謝の気持ちを込める文化的なプロセスでもあります。 植物や神話を描いた柄には、踊る人と自然・神々とのつながりが表現されています。

現代に生きる pā‘ū の文化

布を超えた文化的象徴として

pā‘ū は、過去から現在へ、日常から神聖へとつながる象徴的な存在です。 現代の私たちがフラを通じてこのスカートを身につけるとき、 そこには長い歴史と文化への敬意が流れています。 pā‘ū を巻くことは、自分自身と向き合い、ハワイの自然や神々、人々とつながる方法のひとつなのです。

出典:Pukui, Mary Kawena & Elbert, Samuel H. Hawaiian Dictionary. University of Hawaii Press.

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