【歴史㉒】消えなかった鼓動─ハワイ王国の終焉とフラ復興の奇跡

目 次

王国滅亡とフラへの影

1893年、ハワイ王国はリリウオカラニ女王(Liliʻuokalani)の廃位によって終焉を迎えました。
王政の崩壊は政治の変化だけでなく、ハワイ文化全体に深い影を落としました。
特に、フラ(Hula)は王室や祭祀(ceremony)と強く結びついていたため、臨時政府(Provisional Government)や宣教師たちから「偶像崇拝の象徴」とみなされ、禁じられる空気が濃厚になっていきました。
街では次第にフラを人前で踊ることがはばかられるようになり、かつて宮廷を彩った美しい舞は、公の場から姿を消していきます。
しかし、その一方で人々の心の中では、王国と共に歩んできたフラへの愛が消えることはありませんでした。
王国の終焉という激動の渦の中で、フラは密かに次の時代へと受け継がれていく希望の鼓動を打ち続けていたのです。

出典:Hawaiian Historical Society

禁じられた舞を守った人々

王国が崩壊し、アメリカ合衆国(United States)の影響が強まる中で、フラ(Hula)は「野蛮」や「偶像崇拝」の象徴として厳しく批判されました。
臨時政府(Provisional Government)はフラを公の場から排除し、学校教育でもハワイ語(Hawaiian language)や伝統文化を教えることが減っていきました。
しかし、そんな時代の流れに抗う人々がいました。
彼らは森や隠れた集落の中で密かにフラを踊り、古いチャント(oli)を語り継ぎました。
衣装や楽器も、外に見せぬよう慎重に守られ、それは一族やコミュニティの中で受け継がれていったのです。
フラを禁じられたことは、逆に人々の中に「この文化を失ってはいけない」という強い決意を生みました。
暗い時代にも、フラは人々の胸の奥で静かに息づいていたのです。

出典:Hawaiian Historical Society

カラカウア王の遺した希望

フラ(Hula)が厳しく抑え込まれる時代にあっても、人々の心に希望を灯し続けた人物がいました。
それが「メリー・モナーク(Merrie Monarch)」の愛称で知られるカラカウア王(Kalākaua)です。
彼はハワイ王国の文化を誇りに思い、西洋化が進む社会の中でも「古来の芸術を守るべきだ」と繰り返し語りました。
1870年代から1880年代、王宮では再びフラの公演が開かれ、古代のチャント(oli)や華やかな舞が蘇ります。
カラカウア王の支援は、フラが「恥ずべきもの」ではなく「誇り」として見直される大きなきっかけとなりました。
王の死後、再び厳しい時代が訪れますが、その精神は人々の間に生き続け、「フラを守ろう」という強い信念の種を残したのです。
この種こそが、のちのフラ復興の奇跡へとつながる希望の源でした。

出典:Hawaiian Historical Society

メリー・モナーク・フェスティバルの誕生

20世紀も半ばを過ぎ、ハワイはアメリカ合衆国(United States)の州として急速に発展を遂げていました。
しかし、経済が成長する一方で、古い文化やフラ(Hula)の伝統が人々の記憶から薄れかけていた時期でもありました。
そんな中で誕生したのが、1964年にスタートした「メリー・モナーク・フェスティバル(Merrie Monarch Festival)」です。
この祭典の名前は、かつてフラを復活させたカラカウア王(Kalākaua)の愛称「メリー・モナーク」にちなんでいます。
フラを競い合う舞台としてだけでなく、古いチャント(oli)、伝統衣装、文化の背景まで徹底的に尊重するこのフェスティバルは、ハワイ文化の再生の象徴となりました。
王国の時代から続くフラの魂が、再び大勢の人々の前で輝きを取り戻した瞬間だったのです。
今ではメリー・モナークは、世界中のフラダンサーたちの憧れの舞台となり、ハワイ文化の誇りを未来へ繋いでいます。

出典:Hawaiian Historical Society

世界へ響くフラの鼓動

かつて王国の崩壊とともに姿を潜めたフラ(Hula)は、今ではハワイ文化を象徴する存在として、世界中にその魅力を伝えています。
メリー・モナーク・フェスティバル(Merrie Monarch Festival)の成功をきっかけに、ハワイ内外で多くのハーラウ(Hālau:フラ教室)が生まれ、伝統だけでなく現代的な表現も取り入れたフラが発展しました。
海外でもフラは人気を集め、特に日本では多くのフラダンサーたちがハワイとの繋がりを深めています。
しかし、フラは単なる踊りではありません。
そこにはハワイ語(Hawaiian language)、土地の神話、自然への敬意など、王国の時代から受け継がれる深い文化が込められています。
現代のフラは、王国を失った悲しみを超えて、今もなお人々の心に「アロハ(Aloha)」の精神を伝え続けています。
これからの記事では、現代のフラの魅力や、ハワイ文化がどのように世界で愛されているのか、さらに詳しくご紹介していきます。

出典:Hawaiian Historical Society

かつて王国の崩壊とともに姿を潜めたフラ(Hula)は、今ではハワイ文化を象徴する存在として、世界中にその魅力を伝えています。
メリー・モナーク・フェスティバル(Merrie Monarch Festival)の成功をきっかけに、ハワイ内外で多くのハーラウ(Hālau:フラ教室)が生まれ、伝統だけでなく現代的な表現も取り入れたフラが発展しました。
海外でもフラは人気を集め、特に日本では多くのフラダンサーたちがハワイとの繋がりを深めています。
しかし、フラは単なる踊りではありません。
そこにはハワイ語(Hawaiian language)、土地の神話、自然への敬意など、王国の時代から受け継がれる深い文化が込められています。
現代のフラは、王国を失った悲しみを超えて、今もなお人々の心に「アロハ(Aloha)」の精神を伝え続けています。
もっと詳しく知りたい方は、メリーモナーク・フェスティバル ─ ヒロ復興のために踊った人びと もぜひご覧ください。

出典:Hawaiian Historical Society

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