カメハメハ大王を讃えるフラとメレ ─ 歴史が息づくフラの世界
カメハメハ大王を讃えるメレへのいざない
カメハメハ大王。
フラを踊る人なら、その名を聞いたことがない人はいないでしょう。
しかし、その偉業がどれほど大きなもので、
どんな想いが彼を讃えるメレに込められているかを
詳しく知る機会は多くありません。
この記事では、カメハメハ大王に捧げられた代表的なメレを全文紹介し、
その背景や、踊るときに込められる感情をお伝えします。
メレの美しい言葉の背後にある、ハワイの歴史と人々の誇りを
一緒に感じていただけたら嬉しいです。
カメハメハ大王を讃える代表的なメレ
He Inoa No Kamehameha
He inoa no Kamehameha
Ka lani ali‘i nui o Hawai‘i nei
Ua lanakila i na kaua nui
I ka ihe a me ka pahi kaua
Nana i wili i nā mokupuni
I hoʻokahi pae ʻāina
Hoʻokahi ali‘i nui no Hawai‘i
No Kamehameha ka inoa
Source: Traditional Hawaiian Chant “He Inoa No Kamehameha” (Public Domain)
日本語訳
カメハメハに捧げる名の歌
このハワイにおける偉大なる王族の君主
数々の大きな戦いに勝利し
槍や戦いの刃をもって
島々をひとつにまとめ
ひとつの諸島を作り上げた
ただ一人の大王、それがハワイの王
カメハメハの名のもとに
出典:本記事に掲載したメレ「He Inoa No Kamehameha」は、古典的なハワイの伝統チャントであり、パブリックドメインに属しています。
このメレの背景
「He Inoa No Kamehameha」は、カメハメハ大王を讃える古典チャントです。
このメレは、王がハワイ諸島を統一した偉業を称えるだけでなく、
その威厳や神聖さ、そして民を想う深い心を伝える詠唱でもあります。
ハワイの人々にとって、カメハメハ大王は歴史上の人物という枠を超え、
今もなお魂の中に息づく、誇りと結束の象徴です。
踊り手はこのメレを踊るとき、
王が持っていた揺るぎない信念や、大地を踏みしめる強さを体現しようとします。
フラ・カヒコの舞台では、低く沈む姿勢や鋭い視線、
リズムを刻む足音が観客の心を震わせ、
まるで王その人が目前に立つかのような空気を生み出します。
観客はただ踊りを見ているのではなく、
王が戦場を駆け抜けた勇壮さや、
ひとつにまとまった島々の歓びを感じ取り、
その場にハワイの歴史が蘇る瞬間を目撃します。
踊り手にとって、このメレを踊ることは単なる振りの再現ではなく、
王への深い敬意を捧げる祈りであり、
ハワイの歴史を次の世代へ伝える神聖な使命でもあるのです。
Source: “The Kumulipo: A Hawaiian Creation Chant” by Martha Warren Beckwith (Public Domain); “Hula: Historical Perspectives” by Nathaniel B. Emerson (Public Domain); “Nā Mele Welo: Songs of Our Heritage” by Mary Kawena Pukui and Alfons L. Korn; Bishop Museum Archives.
カメハメハ大王を讃えるその他のメレ
以下のメレもカメハメハ大王をテーマに詠まれています。
・He Mele Lāhui Hawaiʻi(ハワイ王国の国歌として歌われ、王族と王国を讃えるメレ)
・Ka Hae Hawaiʻi(ハワイ王国の旗を讃えるメレの中に、王への賛美が込められている)
・He Mele No Kamehameha(地域ごとに伝わる王への賛美のチャント)
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