揚げたてのマラサダ─ローカルに愛されるドーナツの物語

目 次

マラサダってなに?

外はカリッと、中はふわふわ。グラニュー糖がまぶされた素朴なドーナツ「マラサダ」は、ハワイのローカルスイーツとして愛されている存在です。見た目はシンプルでも、その味わいは奥深く、ハワイのベーカリーでは朝食やおやつの定番として並びます。

もともとはポルトガルからハワイにやってきた移民たちが持ち込んだレシピで、「マラサダ(malasada)」とはポルトガル語で「油っこい」「揚げたもの」という意味。

1878年以降、ハワイのサトウキビ農園で働くために多くのポルトガル人が移住したことにより、彼らの家庭料理として伝わったのが始まりです。やがて地元の味として定着し、今ではハワイの人々にとって懐かしく、そして誇らしいスイーツのひとつとなっています。

マラサダをハワイにもたらした先駆者たち
— ポルトガル移民の横顔

出典 Hawaiian Digital Collections. “Portuguese Immigrants in Hawaii”(Public Domain)

マラサダのバリエーション

もともとはシンプルな砂糖だけの揚げドーナツだったマラサダですが、今では中にクリームを詰めたタイプや、生地にフレーバーを練り込んだものなど、多彩なアレンジが楽しまれています。

バニラやチョコレート、グァバ、リリコイ(パッションフルーツ)といった南国ならではのクリーム入りは特に人気で、ひとつ食べるともう一個…と手が止まらなくなるほど。揚げたてを提供するお店が多く、ふわっとした食感とともにほんのり温かさが残るのも魅力のひとつです。

ハワイでマラサダといえばまず名前が挙がるのが、ホノルルの「レナーズ・ベーカリー」。1952年創業の老舗で、看板のネオンサインとともに、地元の人も観光客も行列を作ります。注文を受けてから揚げられるマラサダは、まさにできたてほやほや。ハワイの青空の下でかぶりつけば、笑顔になること間違いなしです。

Leonard’s Bakeryについて(英語)

出典 Leonard’s Bakery. “Leonard’s malasadas.” Wikimedia Commons, licensed under CC BY-SA 2.0.

マラサダはただのおやつじゃない

ハワイでは、マラサダは単なるお菓子ではなく、文化や家族の記憶に根ざした存在でもあります。

特に「マラサダ・デー(Malasada Day)」として知られる火曜日──これはキリスト教の「四旬節」が始まる前日の火曜日で、ポルトガル系移民たちはその日に保存食材を使い切るためにマラサダを揚げて食べる習慣がありました。この風習が今も受け継がれ、毎年2月〜3月ごろにはローカルベーカリーが大行列になるほどです。

親から子へ、そして地域全体で引き継がれてきたマラサダは、味だけでなく、人々の暮らしや思い出と深く結びついています。ハワイを訪れたら、ぜひ一度そのふわふわのドーナツにかぶりついてみてください。その瞬間、あなたもこの島の物語の一部になれるかもしれません。

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