【歴史⑮】カメハメハの血を継がぬ王─カラカウアが勝ち取った王冠

カメハメハ家の血を継がぬ王子──カラカウアの生い立ち

カラカウア王（Kalākaua）は、1836年にホノルルで生まれました。
本名はデイヴィッド・カラカウア（David Kalākaua）で、ハワイ語では「カーヴィカ（Kāwika）」とも呼ばれます。
カラカウアの家系は高貴な首長（aliʻi）の血筋でしたが、カメハメハ大王（Kamehameha I）の直系ではありませんでした。
それが後の王位争いで大きな議論を呼ぶことになります。
幼い頃のカラカウアは、英語やハワイ語の教育を受け、当時の宣教師たちの学校にも通いました。
音楽が好きで、若い頃から詩を作ったり、歌を歌ったりすることを楽しんでいたと言われています。
この芸術への愛情は、後の「メリー・モナーク（Merrie Monarch）」と呼ばれる華やかな王としての姿につながっていきます。
王位に就く前、彼は官僚として政府の役職を務め、王国の政治にも早くから関わっていました。
しかし、その胸の内にはいつも「ハワイの人々の誇りを取り戻したい」という強い想いがあったのです。

出典：Hawaiian Historical Society

ルナリロ王の死と、王座を巡る激しい戦い

1874年、民衆に愛されたルナリロ王（Lunalilo）が病のため亡くなり、ハワイ王国は再び王座が空席になりました。
国中が悲しみに包まれる中で、「次の王様は誰か」という問題が一気に大きくなりました。
このとき王位を争ったのが、カラカウア（Kalākaua）とエマ女王（Queen Emma）でした。
エマ女王はカメハメハ王家と縁が深く、多くの民衆に人気がありましたが、カラカウアは王国を近代化したいという強い夢を持ち、政治家や外国勢力の支持を集めていきました。
議会（Legislature）の投票ではカラカウアが勝利しましたが、エマ女王を支持する人々が怒り、ホノルルで暴動が起こるほど事態は混乱しました。
アメリカやイギリスの軍艦が港に停泊し、兵士たちが町の警備にあたるほどの緊張が走り、王位を巡る争いがいかに大きな出来事だったかがわかります。
それでもカラカウアは王としての即位を果たし、ハワイ王国に新しい時代が始まろうとしていました。

出典：Hawaiian Historical Society

王座奪取！カラカウア即位と民衆の複雑な想い

激しい争いの末、カラカウア（Kalākaua）はハワイ王国の新しい王様として即位しました。
1874年2月12日、イオラニ宮殿（ʻIolani Palace）の前で行われた即位式は、太陽の光の下で大勢の人々が見守る中で行われました。
カラカウアは王冠を戴き、自分の治世が始まったことを高らかに宣言しました。
しかし民衆の間には複雑な空気が流れていました。
多くの人々がエマ女王（Queen Emma）を支持していたため、即位式の華やかさの裏には、まだ深い分断の影が残っていたのです。
それでもカラカウアは、「ハワイを強く、美しく、そして誇り高い国にする」という夢を胸に抱き、新しい王として歩み始めました。
彼の治世は、後に「メリー・モナーク（Merrie Monarch）」と呼ばれるほど華やかで文化的な時代を生み出すことになりますが、その道は決して平坦ではありませんでした。

出典：Hawaiian Historical Society

新たな時代への扉──メリー・モナークの治世へ

王冠を手にしたカラカウア（Kalākaua）は、これまでの王たちとは違う夢を描いていました。
ハワイの伝統文化を取り戻し、王国を世界に誇れる国にしたいという強い想いです。
しかし、その道のりは順風満帆ではなく、内政や財政、そして外国勢力との関わりが待ち受けていました。
それでもカラカウアは、明るい笑顔と歌、そしてフラを愛する心で王国を照らそうとします。
次の記事では、そんなカラカウア王が「メリー・モナーク（Merrie Monarch）」と呼ばれる所以（ゆえん）と、華やかな王宮生活、そしてフラを復活させた物語を詳しくお届けします。

出典：Hawaiian Historical Society

カラカウア王が開く、文化復興への道

カメハメハの血を継がない王として即位したカラカウア（Kalākaua）は、多くの困難の中で新しい時代を切り開こうとしていました。
王位をめぐる激しい争いを乗り越えた彼には、ハワイの人々の誇りを取り戻すという大きな使命がありました。
カラカウアはただ王冠を手に入れたのではなく、ハワイ文化を再び輝かせたいという強い思いを胸に抱えていたのです。
次の記事では、彼が「メリー・モナーク（Merrie Monarch）」と呼ばれるようになった華やかな王宮生活、そして何よりフラ復活への熱い想いを、より詳しくお伝えします。
王座を勝ち取ったその先に待っていたのは、ハワイ文化の復興という大きな物語でした。

出典：Hawaiian Historical Society